教会旋法はグレゴリア聖歌の時代に理論化された旋法(音階)で、正格旋法4つとそれぞれの変格旋法の計8種類があります。
これらの旋法は現在の主音に相当する終止音(フィナリスfinalis)と属音に相当する支配音(コンフィナリスconfinalis)を持っています。16世紀ごろ、更に正格・変格あわせて4つの旋法が追加されました。
下の画像の音符の白抜きは終止音、赤色の音符は支配音を表しています。
教会旋法 | ギリシャ名称 | 中世の名称 | 終止音 | 支配音 | 備考 |
第1旋法 | ドリア旋法 | 正格第1旋法 | D | A | |
第2旋法 | ヒポドリア旋法 | 変格第1旋法 | D | F | |
第3旋法 | フリギア旋法 | 正格第2旋法 | E | C | |
第4旋法 | ヒポフリギア旋法 | 変格第2旋法 | E | A | |
第5旋法 | リディア旋法 | 正格第3旋法 | F | C | |
第6旋法 | ヒポリディア旋法 | 変格第3旋法 | F | A | |
第7旋法 | ミクソリディア旋法 | 正格第4旋法 | G | D | |
第8旋法 | ヒポミクソリディア旋法 | 変格第4旋法 | G | C | |
第9旋法 | エオリア旋法 | - | A | E | (現在の短調に相当) |
第10旋法 | ヒポエオリア旋法 | - | A | C | |
第11旋法 | イオニア旋法 | - | C | G | (現在の長調に相当) |
第12旋法 | ヒポイオニア旋法 | - | C | E |
和声的な多声音楽が多く作られるようになってから正格と変格の区別が困難になり、その後現れた長調と短調に主役の座を譲ることになったとも言われていますが、今でもゲーム音楽などにたまに見かけますね。
Wikipedia:教会旋法によると
そのほか、非公式の、イオニア旋法、エオリア旋法、ロクリア旋法などもを含むこともある。奇数で表される旋法は正格旋法、偶数で表される旋法は変格旋法ともいう。例えば、第二旋法は、ドリアの変格旋法である。それらの違いは、声域の違いである。
と書いていますが、正格旋法と変格旋法との間には支配音の位置の違いがあり、支配音と終止音の位置関係が旋法の性格の違いを引き起こすため、wikipediaの記述は誤りと思います。
どうしたらこういう解説になるのか理解に苦しみます。
まうかめ堂さんのサイトの「音階、旋法、ソルミゼーション」というページにて教会旋法についての詳しい解説がありまして、それを読むましたらこの疑問は間違いでしたので取消します。
ただ、バロック時代のようにのちの時代では音域の違いだけでは説明仕切れないのではないかという疑問が残りますが、専門家ではないのでこれ以上は取り上げないようにしようと思います。
(2011.06.26追記)
コメント
Wikipediaは誰でも編集可能なので、直しちゃうのが早いかもですね。
確かに^^
ただ、誰でも編集できるので、例えば編集しても、前の方が正しいと信じている別の人が再編集・・・・これを延々といたちごっこしてるページとかも幾つか見た事があって、なかなか編集しようという気が・・・ということで、ずいぶん前に別のページ(ウッチェルリーニ)ですが1箇所修正した事がある程度です。
まず、質問に対する答えは次に書いておきました。
http://blog.maucamedus.net/article/43709350.html
ちょうど良い機会なので質問させてください。
支配音とは何でしょうか?
支配音という言葉はよく本とかで見かける言葉ですが、すくなくとも中世の文献には見当たらないようです。
で、よくよく見てみると、それぞれの旋法で支配音とされている音は、何のことはない(対応する詩篇唱定式の)テノールあるいは朗唱音を表しているらしいことが見て取れます。
では支配音はテノールまたは朗唱音の別名にすぎないのか、それとも、支配音は英語では dominant であるらしいので、何らかの属音的な機能を示すものなのか、その辺どうなんでしょうか?
(私が目にしたいくつかの本のなかでの支配音の説明には、明確に意味が理解できるものはありませんでした。)
支配音とコンフィナリス confinalis と呼ぶのは確かでしょうか?
コンフィナリスは16世紀以降はフィナリスの五度上の音を示す用語であったため、しばしばテノール(朗唱音)と混同されたようですが、ここでもそのような混同が起こっているということはないでしょうか?
最後に「例えば、第二旋法は、ドリアの変格旋法である。それらの違いは、声域の違いである。」という Wikipedia の記述ですが、簡潔すぎてこれだけではよくわからないとは思いますが、間違いではないと思います。